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「お昼にしましょうか?」
私は彼に声を掛け、電気ケトルでお湯を沸かした。
「平岡さんはコーヒーでいいですか?」
今度は彼の名前が自然に口から出た。
「霧島さんは?」
「私は紅茶です」
「じゃあ、僕もそうします」
私は二人分の紅茶を淹れた。
カップの一つを彼のいるデスクに運ぶ。
ここが今日から『彼のデスク』と言うべき場所だ。
そして、もう一つを向かいの自分の席へ運ぶとパン屋の袋を開けた。
「男の人の好みがわからなくて、お店の方に聞いたんですけど……」
私が袋の中から個々に包装されたパンを取り出そうとすると、彼はデスクの上を片付けながら「どんなのでも大丈夫ですよ」と笑顔を見せた。
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