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「お先に失礼します」
「お疲れさま。気を付けてね」
「はい。あ、今日のお昼、ごちそうさまでした。平岡さんも無理しないで早めに帰ってくださいね」
「ありがとう」
私は出入り口の傘立てから傘を抜き取るとビルの階段をゆっくりと降りた。
今日の昼食はこの天候を気にした平岡さんが外回りのついでにお弁当屋さんでお弁当を買ってきてくれたのだ。
先程のお礼はその件だった。
だから今日はパン屋さんには顔を出していない。
私はパン屋の前で立ち止まっていた。
毎日来ていると、常連の根性と言うべきか、義務と言うべきか、とにかく店に顔を出さなければならないような気がしてくるのだ。
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