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彼の目は決して冗談を言っているものではなかった。
私の口角が静かに下がる。
それを見た彼は自分の口角を上向かせた。
「こんな時に言うことじゃないと思うんだけど、もう白状するしかないかな。僕がここに入る前から坂上先生から君のことはよく聞いてたんだ。それは前にも話しただろ?」
「……はい」
私は囁くように返事をした。
「正直に言うと……僕は君に会う前から君のことが気になって仕方がなかった。気になってたって言うよりも……好きになってたのかもしれない」
突然のことに、瞬きを忘れてしまった。
言葉を失う私に彼は世間話でもするかのように話を続けながらお湯を沸かし、紅茶の準備を始めた。
「でも、君に会ってから……自分の気持ちを確信したよ」
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