彼氏-2

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私が反応に困ってゆっくりと俯くと、彼はそれまでと変わらないトーンで微笑んだ。 「だから……考えといて」 私は返事をしたつもりだが、声にはならなかった。 「さ、食べよう。せっかくの焼きたてのパンだ。冷めないうちに食べた方がいいんだよね?」 「はい……」 彼が紅茶を淹れてくれたので私たちは昼食にすることにした。 「すみません……。いただきます」 「そんな恐縮しないで。ごめん、さっきの話は本気だけど、今までどおりに接してほしい。難しいかな?」 「いえ……大丈夫です」 「よかった」 彼は安堵の息を漏らすとカツサンドをほおばった。 私も自分の分を口に入れたがなかなか喉を通らず、結局もう一つのパンには手を着けられなかった。
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