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その日、午後はどんな風に過ごしたらいいものか一人思い悩んでいたが、私の心配は無用に終わった。
なぜなら平岡さんの方が全く普段通りだったので、私も自然にそれに順応することになったのだ。
平岡さんの態度はいつもと何の変りもなく、こちらが拍子抜けするほどだった。
同時に先程の告白はもはや夢だったのではないかとさえ思った。
夕方、外出していた坂上先生が戻ったところで一日の報告を済ませ、私は二人を残して先に引き上げることにした。
ガラスの扉が閉まると全身から二割ほど力が抜ける。
それを実感したところで廊下をゆっくりと歩き出した。
『考えといて』……
半信半疑になりながら、彼の言葉を思い出す。
私は図々しくも、自分が平岡さんのとなりで並んでいるのを想像してみた。
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