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弓子の口調が急に冷たくなる。
そして、そのまま弓子はカウンターに肩肘をついて私を見た。
「ねえ、美織。前も気になったんだけど、その物件に踏み込めないのって……迷ってる物件があるからなんじゃないの?」
「そんなことないよ……」
「そう? あ、前に言ってたパン屋さんとか? もしかしてその店長さんが迷い物件なの?」
「店長さんのこと、物件なんて言わないでよね!」
「美織……」
「あ……ごめん」
私は前髪を掻き上げて俯いた。
他の客の視線も私の背中に突き刺さっているだろうけど、後ろを振り返る気力もなかった。
二人の間に沈黙が漂う。
「美織……それって……」
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