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「じゃあ、僕も霧島さんと同じパンと……カツサンドにしようかな」
私が彼の指差したハムチーズの白パンをもう一つトレイに乗せると、彼は身体の向きをくるりと変えてサンドイッチコーナーへ行ってしまった。
私は焦る。
けれど、振り返った瞬間にも調理場の彼と目が合ってしまった。
彼は手元を動かしながら会釈をした。
彼の表情に変わりはない。
私はそれを見てみぞおちの奥に深い息を落とした。
緊張していた身体から力が抜け、肩が下がる。
彼のいつもと変わらない微笑みに緊張していたことが馬鹿らしくなって気落ちする。
一方、彼は会釈の後、呼ばれた声に反応して顔を上げた。
彼を隣で呼ぶのは橋本さんだ。
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