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「おはようございます」
「おはよう」
最近は私の挨拶とほとんど同時に平岡さんの挨拶が飛んでくる。
彼の笑顔は梅雨には似つかない爽やかなものだった。
平岡さんとは同じ職場で働く者同士、この件で気まずくなるのではないかと不安にもなった。
けれど、彼は私の心配をよそにそれまでと何も変わらなかった。
そのうちに私は、あの時の彼の言葉は冗談だったのかもしれないと思うようにまでなっていた。
彼は相変わらず優しくて頼もしく、いつも明るかった。
そのことに加えて矢島専務からもあれから連絡はなく、私はそれをいいことに、何もなかった頃の日常に戻ろうとしていた。
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