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「霧島さん、何か困ってる?」
私の手が止まっていたことに気付いた平岡さんが声を掛けてくれた。
「あ、えっと……。すみません、渡部さんの相続の件なんですけど、書類見ていただいていいですか?」
「もちろん」
「ありがとうございます」
私が椅子を引いて立ち上がろうとすると、
「いいよ。僕が行くから」と、彼がすばやく立ち上がって私の席までやって来た。
そして、斜め横の坂上先生の席から椅子を移動させ、私の隣に座った。
彼は私の手元の資料とパソコンの画面に目をやると、すぐに状況を把握したようだ。
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