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「誰にどれをどれだけ相続するかはわかってるね? そっちの戸籍類見せて」
「はい」
私が彼にそれを手渡すと、彼は手元の書類に念入りに目を通し顔を上げた。
「解釈としては間違ってないけど、大事な文言が抜けてるね。ここと……ここ」
彼は私の作りかけの書類に赤ペンで丸印とメモをすばやく記した。
「ここ見て」
彼が書類の束から重要なポイントをペンを使って指し示した。
私は書類を覗き込む。
古い戸籍は手書きの物が多く、字の大きさもまばらで読み取りにくいのだ。
「……あ、そうか」
「わかった?」
「はい!」
彼の言っている意味が理解できて合点がいくと、私は明るく返事をしながら顔を上げた。
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