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「私の髪の毛と一緒です……。今日はまとめてるんでまだいい方ですけど。雨の日は毛先が丸まってきちゃって……」
動揺した私はついどうでもいいことを口走ってしまった。
自分の毛先を摘まんだ指先の行き場に困り、毛先をねじって静かに手を下ろした。
変なことを言ってしまった。
返答に困っているのか店長さんからの返事はない。
「前は……この癖毛が好きじゃなくて毎朝必死にブローしてたんですけど、今はまとめちゃうんで気にならなくなったんですけど……ね」
間のもたなかった私は上手く話題を変えることもできず、最後まで話し続けてしまった。
さらにその話を苦笑いで締めくくった。
彼から返事がないまま無理に上げた口角がゆっくりと降りてくると彼が口を開いた。
「僕は……前より今の霧島さんの方が好きですけどね」
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