299人が本棚に入れています
本棚に追加
「ダメージって……」
「ないって言える? その顔で」
弓子の表情で先程のため息が呆れてのものであったことを悟った。
今度は自分に呆れて私自身が息を吐き出した。
弓子はそんな私を見てさらに呆れたに違いないが、彼女は優しく微笑んだ。
「好きなんでしょう? パン屋さん」
私はしばらく俯いたままだった。
そして、髪を掻き上げながら少しだけ顔を上げた。
「好きなのは……パンだもん……」
「ふーん」
弓子は少し考え込んだ様子で鼻から息をもらした。
「私、余計なこと言っちゃったかなぁ」
彼女はソファの背もたれに身体を投げ出した。
最初のコメントを投稿しよう!