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「……何のこと?」
「探すのは結婚相手だの、条件だの……なんて言ってさ」
「あ、ああ……あれ?」
「気にしてるんでしょ? 私が言ったこと。だからそんなこと言うんでしょ」
「そんなことないよ……」
「そう?」
弓子はすべてを見透かしたように言った。
私はしばらく押し黙った後、白旗を上げた。
「好きになっていいのか……わからない……」
私は両手で顔を覆い、その手で前髪を掻き上げた。
「パン屋さんの仕事なんてまったく知らないし……」
私が言うと、弓子は「やっぱりね」と肩をすくめた。
そして、急に真顔になって姿勢を正したかと思うと「ごめん……」と、呟くように言った。
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