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「でも……店長さん、しばらく恋はしないんだって……」
私が静かなため息をつくと、弓子がそれを飲み込むような大きなため息をついた。
私は彼女の視線に問い詰められ、今日の出来事を白状した。
弓子は私がすべてを話し終わらないうちにソファの背もたれに身を投げ出した。
「何を言い出すのかと思ったら……。それって店長さんが言ったの? ちがうでしょ? 全然そんな話ができる段階じゃなさそうだし」
弓子はつい先ほどまでの態度とは一変し、捲し立てるように早口に言った。
「美織、昔から変な噂には振り回されたりしないのに、恋愛ってなると例外なわけ?」
私が黙り込むと弓子はいつも通りの笑顔になった。
「まあ、臆病になっちゃうのはわかるけどさ」
更なるダメ押しをされたようで私はうなだれると共に唇を尖らせた。
「だって……」
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