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雨音はいつしか静まり、翌朝には雨は上がっていた。
ただし、空には水蒸気をたっぷり含んだ分厚い雲が広がっていた。
私は玄関で傘を手に取りドアを開けた。
傘の柄を腕に掛け、傘を揺らしながら歩いた。
私には気掛かりなことがあった。
矢島専務に嘘をついたままでいることだ。
彼に嘘をついたことで何の関係もない平岡さんにまで嘘をつかせることになってしまった。
このままだと嘘はさらに広がってしまうような気がした。
空を見上げると、
雲は先程よりもさらに増え、灰色が空を埋め尽くしていた。
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