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彼の発言に私は妙に背筋を伸ばしたまま硬直した。
言うまでもなく顔は隙間のないくらい耳の先まで赤く染まる。
「この位置っていいね。となりって」
さらに追い打ちをかけるかのような彼の言葉に私はたまらなくなって手元に広げていた資料を一枚手に取り、それで顔を覆った。
「あんまり見ないでください……」
私が言うも、彼の視線はまだ私を離さない。
私は目を逸らしながらその目でデスクトップのデジタル時計を見た。
「……平岡さん、そろそろ……出掛ける時間ですよね?」
「ホントだ」
私はなんとか時間に救われ彼を送り出すことに成功した。
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