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嘘をついたわけじゃない。
本当に身体はだるく、何も考えたくなかった。
なのにやっぱり脳内のスクリーンにはあの笑顔が映し出される。
私はシーツを掴んでベッドに這い上がるとそのままうつ伏せになった。
硬く目を閉じてもスクリーンの映像は変わらない。
より鮮明になるだけだった。
これじゃあまるで……
失恋したみたいじゃないか。
どれくらいそうしていたのか、ふと我に返ったのはインターホンの音がきっかけだった。
何度目なのか気付いた時には間を置かずに二度三度と連続して鳴らされていた。
「何……?」
訪問者は一向にドアの前から立ち去る気配がないので、私は怪訝に思いながらもベッドから起き上がった。
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