自惚れ

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「ああ。食事の誘いだった。またいい店を見つけたからって言ってたけど、君の話を聞いてると、もしかしたら連絡があったのはパン屋で行き会った日かもしれないね」 「そうですか……」 矢島専務があの日のうちに坂上先生に連絡をしていたのなら、その意図はわからないがこちらから食事に誘うのもそんなにおかしなことではないはずだ。 「じゃあ、連絡していいんだね?」 「……すみません、お願いします」 私がお辞儀をすると先生は「わかった」と返事をしてデスクに向き直ったが、すぐに振り返った。 「日程は……任してもらっていいのかな? 何か予定があれば君に合せるけど」 「……いえ、特に何も。いつでも大丈夫です」 先生が私の予定を確認したのは意外だった。 「あのっ」 「ん? どうした?」 「今回は……二人でお会いしたいんです」
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