自惚れ

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「じゃあ決まりだ。日時と場所はまた連絡するから」 「よろしくお願いします」 私がもう一度頭を下げると、先生は微笑み、彼のデスクにあった案件ファイルを手に取った。 「さあ、これを頼むよ」 先生が仕事の顔つきに変わったのを受け、私も返事をしながら気持ちを切り替えた。 坂上先生はその夜私に電話をくれた。 早速矢島専務と日取りを決めるばかりか、言っていたとおり店の予約まで済ませてくれた。 電話を終える間際、先生は私を応援するかのように電話口で微笑んだ。 私は先生にほんの少し勇気をもらい、約束の土曜日を待つこととなった。
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