自惚れ

19/30
前へ
/30ページ
次へ
今頃彼は大きなオーブンを背に汗だくになってフル回転でパンを焼いているに違いない。 「頑張って……」 窓に向かって呟きながら、小さく息を吐く。 「……頑張るのは私……」 私は凝りかけた首を左右にゆっくりと倒し、肩を回して身体をほぐすと再び席に着いてパソコンに向き直った。 集中力には欠けたものの、思いのほか処理は進んだ。 約束の店までは事務所から直接向かう。 六時になって片付けを始め、戸締りをして事務所を後にした。
/30ページ

最初のコメントを投稿しよう!

280人が本棚に入れています
本棚に追加