自惚れ

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出入り口に一番近い三段ある商品棚の一番上の段。 幸い私の好きなウィンナーパンはいつもの場所に並んでいた。 さらに数が揃っているのでオーブンから出されたばかりの焼きたてだ。 香ばしいウィンナーの香りと一緒にどこか懐かしいケチャップの焦げた匂いが鼻をくすぐる。 甘い匂いに混じって香るウィンナーの匂いを大きく吸い込むと強張っていた顔から何の抵抗もなく力が抜ける。 私は迷わずその一つをトングで掴んでトレイに乗せた。 今日はどうにか調理場の方を振り返らずにパンを選びたい。 私は横歩きになって商品棚と並行に移動しながら棚の中を見つめた。 すると、突然、背後から呼びかけられた。
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