自惚れ

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「……新作、珍しいですよね? いつも月の始めに出されてるのに」 「そうなんですけど、店長が来月まで待てなかったみたいです。このパン、評判よかったら月替わりじゃなくて定番にしようって言ってるんです。よかったらまた感想聞かせてくださいね。店長も喜びますよ」 「……わかりました。いただきますね」 私が包装の終わった袋を手にすると、その袋を見つめて宮田さんが微笑んだ。 「そのパン……白くて、ふわふわで……霧島さんみたいかも」 「……え?」 声にならない声が唇の隙間からこぼれた時、私と目が合ったのは、正面の宮田さんではなく、 ちょうど奥から天板を持って現れた橋本さんだった。
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