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彼女のことならどんなことでも、
知りたかったはずなのに、
知ってしまった後になると、
知らなくてもよかったと思えて仕方がなかった。
俺と彼女の間に一瞬にして見えない壁がそびえ立ったような気がした。
「弁護士秘書か……」
口にしたつもりはないけれど、それが言葉の代わりにため息に変わっていたことに自分では気付かなかった。
確かに自分には全く想像のできない世界だった。
毎日笑顔を見せてくれる彼女が
一気に遠い存在になってしまったようで、
一人で勝手に寂しささえ感じる。
彼女の素朴な笑顔に
俺は勝手に親近感を抱いていただけなのかもしれない。
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