【パン屋の憂鬱】「密かな想い」

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その話を聞いた時から、 彼女は俺にとって 他とは違う『ただの常連ではない存在』から 多くの常連さんの一人…… つまり、 『ただの常連さん』になった。 憧れを抱くのは簡単だが、 夢を見たら痛い目にあうことは 既に経験済みだったからだ。 いつものように店内で表情をコロコロと変えながらパンを選ぶ彼女の横顔を見ながら 昔の古傷なのか、 胸の奥が痛んだ。
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