【パン屋の憂鬱】「密かな想い」

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……わかっている。 こんな風に思っておきながら、彼女がただの常連客だなんて言うのは矛盾しているって。 だけど、彼女のことが特別な存在だなんて、俺が言っていいものなのか。 何より…… あんな思いをするのは ……もうごめんだ。 俺が黙ってさえいれば、 この気持ちもきっと日常の中に埋もれていく。 パン屋の店長と常連客。 ただそれだけ。 彼女がこの店に今までと変わらず来てくれるのならそれでいい。 彼女の笑顔も多くの常連客達の中に紛れていくはずだ……
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