彼女の隣に

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その日の昼。 いつもより少し早い時間に彼女が再び現れた。 今日は二度目の来店だ。 「いらっしゃいませ」 レジを担当している宮田さんと橋本さんが同時に彼女に声を掛ける。 その後ろで彼女たちの声に混じって俺も彼女を出迎える。 彼女はレジの二人に向かって「こんにちは」と、挨拶した後、いつも通り俺に浅く会釈する。 彼女が店に入ってからこれに会釈を返すまで、それを逃さないために俺は密かにずっと彼女を目で追っている。 俺が会釈をすると、彼女は背中を向けてトレイとトングを手にして今日のパンを選び始めた。
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