昔の彼女

18/32
前へ
/32ページ
次へ
この時になると、もう俺はほとんど混乱していた。 最初は遠回しに聞いていたものの、 わけがわからなくなって、真っ先に確かめたことだけが口を突いて出た。 すると、彼女は微笑んだ。 「もちろん、好きだよ」 彼女の答えは再び俺を混乱させる。 俺だって、彼女の答えは最初からわかっていた。 それは日頃の彼女の態度から滲み出ていたし、好きでもない相手と一年半も一緒になどいないだろうから。 でも、彼女はいつも俺に向ける飾らない笑顔を この時、少し曇らせたんだ。 嫌な予感がした時にはもう遅かった。 俺は引き金を引いてしまったんだ。
/32ページ

最初のコメントを投稿しよう!

261人が本棚に入れています
本棚に追加