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二重扉の最初の扉が開いたところで俺と彼女は代金とお釣りをやり取りする。
彼女の指が俺の手のひらにかすかに触れて、
それを意識した俺は彼女の手のひらの上で、不自然なほど高い位置からおつりの小銭を渡した。
「いらっしゃいませ」
二枚目の扉が開いたので俺がドアの方へ小さく頭を下げると、彼女も後ろを軽く振り返った。
すると、彼女が「あっ」と小さく声をもらした。
それとは逆に店に入ってきた彼の声は静まり返った店内に良く響いた。
「よかった、ここにいてくれて」
店に入るなり、彼は彼女に掛けよった。
彼は彼女と同じ職場で働く男だ。
そして、彼女のそばまで来ると、やっと俺に気付いたように俺に会釈をした。
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