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「霧島さん、いつもホント嬉しそうに見てくれてますよね?」
「え?」
彼女が振り返り、目が合う。
「たらもパン、焼きたてですよ」
内心心臓が跳ねるが俺は顔には出さずに目の前のスペースに焼きたてのパンを並べ始めた。
彼女は天板に並んだパンを見つめると、
「これ、いただきます!」
と、少し興奮気味に明るい笑顔を見せた。
「いつもありがとうございます」
俺は彼女のトレイにたらもパンをのせた。
彼女から再び微笑みが返ってきたので、残りのたらもパンを棚に並べようとすると、声を掛けられた。
「すみません……。私も頂いてもいいですか?」
それは、彼女の声ではなかった。
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