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彼女は表情が明るくなったと思った途端、今度は急に顔を伏せる。
俺は何と声を掛けていいのかわからずにパンを並べ終えて厨房に戻った。
彼女は週に何度か訪れる常連さんだった。
俺は直接話したのは今日がはじめてだが、
常連さんとあらば、宮田さんや橋本さんが彼女に話しかけないはずはなかった。
彼女たちの情報によると、
このいかにも華奢な常連さんは……霧島さんとは少し違う。
となりから通ってくれる霧島さんとは対照的に、彼女は少し遠くから足を運んでくれているらしい。
彼女は毎回一つしかパンを買わないが、宮田さんや橋本さんからは、彼女自身が小食であるのかもしれないが、お昼休みにうちの店まで足を伸ばしているので食べる時間がないのではないかという話も出ていた。
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