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「店長」
華奢な常連さんが出て行くと、横から橋本さんがこれから揚げるカレーパンをバッドにのせて俺の背中を通っていく。
俺は彼女を振り向きながらその先の言葉を待った。
「あんまり、気を持たせない方がいいんじゃないですか?」
「え?」
「彼女、きっと店長のこと、好きですよ?」
「か、彼女って?」
俺は少し焦った。
「あの、色白のロングの子」
「……ああ」
俺は息を吐き出した。
思い当たる、もう一人ならよかったのに。
「彼女が何?」
「だから、彼女、店長のこと、たぶん好きですよ?」
俺は手を動かしたまま橋本さんを黙って見て、すぐに手元に視線を戻した。
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