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霧島さんに彼氏が……
いたって別におかしくない。
いないと勝手に決めつけていたことの方がどうかしてる。
彼女のことなんて、ほとんど何も知らないくせに。
長身の彼といい、さっきの偉そうな彼にといい、
彼らはきっと彼女に気があるに違いない。
それに、俺が知っているのなんて、きっとほんの一部にすぎないだろう。
彼女の周りには、たくさんの男がいるのかもしれない。
俺は彼女の笑顔を思い出していた。
ここへ来るたびに見せてくれるあの顔は……
彼女にとっては単なる社交辞令なのかもしれない。
それを見て俺が浮かれたり、テンションが上がっていたりするのは
客観的に見れば笑ってしまうくらいに滑稽なのかもしれない。
外の曇り空に自分の想いを重ねたその日、
この辺りもとうとう梅雨入りしたらしい……。
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