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閉じた裏口のドアを見つめ、大きく息を吐き出した。
ずっと、胸の奥につかえていたものが取れたような安堵感が広がる。
彼女の気持ちに応えることは出来なかったが、
彼女がそれでもこの仕事が好きだと言ってくれたことで俺は救われた。
彼女とはこの先いい関係を築いていける予感がした。
同時に、彼女にはパン職人としての素質も感じていた。
彼女がこれから新しく思い描く未来に俺はいないが、
いつか彼女がパン屋として独立し、自分の店を持つ姿が
ぼんやりと想像できた。
その時にはきっと、
彼女のとなりには彼女の笑顔を守る誰かがいてくれるだろう。
俺もしっかりしなければ。
心の中で呟くと、俺も裏口から店の中に戻った。
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