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「いらっしゃいませ」
「こんにちは」
いつもの昼休み。
私は財布を片手にパン屋さんの店内に入った。
店内からの掛け声に私がこんにちはと挨拶を返すのは以前と変わらない。
「あ、霧島さん、こんにちは」
レジにいた宮田さんが返事をしてくれると、厨房から顔を覗かせた橋本さんも私に笑顔をくれた。
「霧島さん、甘口カレーパン焼きたてですよ」
「あ、いいですね。今日はそれにしようかな」
私は普段通りに受け答えしているつもりが、実は少し緊張している。
店に入った時から気付いていた。
いつものオーブンの前に彼がいない。
もう一度オーブンの辺りに視線をちらりとやると、宮田さんに気付かれた。
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