【その後・おまけ編】ふたりはとなり

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私はなんだか彼に申し訳なくなりながら、慌ててもう一つのパンにクリームあんパンを選んでレジに向かった。 「店長の彼女なんだから、店長のおごりですよぉ」 宮田さんがレジを打つ前にパンの包装を始めてしまった。 「そんなことないです。ちゃんとお支払いしますから。そういうのはなしでお願いします」 私は二つ分のパンの代金をカウンターの上の支キャッシュトレイの上に入れた。 すると、彼女は「わかりました」と、パンの包装を終えてレジを打った。 私はおつりとパンの袋を受け取ると、彼女に顔を寄せた。 「……店長さん、私が店に来るとやりにくいでしょうか?」 私は宮田さんの影に隠れるようにして小声で尋ねた。 すると、彼女はクスクスと笑い出した。 これじゃあ、彼から見たら彼女の背中が揺れているのがわかってしまう。 「大丈夫ですよ。店長、照れてるだけですし……あ、ごめんなさい、私たちがからかっちゃうから。でも、霧島さんが来てくれるのは、前と変わらず絶対に嬉しいはずですから」
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