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「この子たちはアタシの配下の者だから害は無し。どれでもどうぞ!」
「……魔物はイヤだ」
オイラが涙目でつぶやくと、ヤミーは大きな目をパチパチと瞬かせた。
「なんでよ。こっちの口女なんか、かなりのべっぴんさんでしょ。そっちのろくろ首はパーフェクトボディだし」
「普通の人間の女の子がいい。ブスでもデブでも人間ならなんでもいい」
「もー、それはマズイって。この前はアタシが紹介したネコ娘を気に入って、ニャンニャン……」
「それは前の隠語。その時わかったんです。魔物は……ちょっと、やっぱり違う……」
「なにが違うの?」
興味津々を顔一杯に溢れさせて、ヤミーが覗き込んでくる。
「……言えません。とにかくなんというか、微妙に……一気に萎えて閉店ガラガラでした」
ふう、と月に向かってため息一つ。
なんでこんな事になったのか。
このため息は、欲求が満たされないだけの嘆きではないのだ。
「うっそ! 魔物でもヒトガタなら同じだと思ってた。ねえねえドコがどう違うの?」
「言えないっての」
「………………」
「コラ。おのれの着物をまくるんじゃない。自分のを確認しようとするんじゃない」
オイラが咎めると、ヤミーはキョトンとして裾を持つ手を止めた。
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