第1章 ー悲劇のヒロインー

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私は「悲劇のヒロイン」が嫌いだった 何度も何度も彼女達にひどい目にあわされきた。 シンデレラのように純粋な「悲劇のヒロイン」だったら良いものの… 現実の「悲劇のヒロイン」には”裏”がある。 みんなだってわかっているはず。 あの子は本当はありえないくらいに性格が悪い。 あの子だって、実はいくつもの顔がある。 この子は人を操って楽しんでいた。 完成された「悲劇のヒロイン」なんてそんじょそこらにいるものじゃない。 純粋なのはごく僅かな人だけ。 私自身、他人に流される性格だったので、自分に満足はしていなかった。 本当なら素直に言えば良いものを、小心者と自分で分かっている以上、それを率直に相手に伝えるという事は無理に近かった。 それを変えたかった。だが人間、急に性格を変えられるものではないと理解はしていた。 私の権力がみんなより格別に弱いことも。 気持ち悪いくらいに周りに流されすぎている自分にも。 ”みんな友達”なんて言っているが、信頼できる友達なんて少ないということも。 全部全部知ってた。 そんな私だったからだろう。 ある事をきっかけに「悲劇のヒロイン」呼ばわりされるようになったのは… 私なんて「悲劇のヒロイン」どころか 「悲劇」 それしかない人間だなぁとあの時はつくづく思った。自分に「ヒロイン」の名は勿体なさすぎる。 でも、これがあったから私は変われた。新たな一歩を踏み出せた。 私はあの事件に感謝している。 そんな私の物語。
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