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私は「悲劇のヒロイン」が嫌いだった
何度も何度も彼女達にひどい目にあわされきた。
シンデレラのように純粋な「悲劇のヒロイン」だったら良いものの…
現実の「悲劇のヒロイン」には”裏”がある。
みんなだってわかっているはず。
あの子は本当はありえないくらいに性格が悪い。
あの子だって、実はいくつもの顔がある。
この子は人を操って楽しんでいた。
完成された「悲劇のヒロイン」なんてそんじょそこらにいるものじゃない。
純粋なのはごく僅かな人だけ。
私自身、他人に流される性格だったので、自分に満足はしていなかった。
本当なら素直に言えば良いものを、小心者と自分で分かっている以上、それを率直に相手に伝えるという事は無理に近かった。
それを変えたかった。だが人間、急に性格を変えられるものではないと理解はしていた。
私の権力がみんなより格別に弱いことも。
気持ち悪いくらいに周りに流されすぎている自分にも。
”みんな友達”なんて言っているが、信頼できる友達なんて少ないということも。
全部全部知ってた。
そんな私だったからだろう。
ある事をきっかけに「悲劇のヒロイン」呼ばわりされるようになったのは…
私なんて「悲劇のヒロイン」どころか
「悲劇」
それしかない人間だなぁとあの時はつくづく思った。自分に「ヒロイン」の名は勿体なさすぎる。
でも、これがあったから私は変われた。新たな一歩を踏み出せた。
私はあの事件に感謝している。
そんな私の物語。
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