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「……っ、やっぱり、ダメッ!!」
パンッと小気味いい音が響いた。
一瞬遅れて走った痛みでエリカに手を叩かれたのだと知った。
割り箸とトレーが宙を舞って、グシャリとお好み焼きが地面に落ちる。
「ダメ!! やっぱりできない……!!
太一!! 食べちゃダメッ!! 絶対にダメッ!!」
「エリカ……!?」
何が何だか分からなかった。
好物を目の前で奪われた怒りと、痛みによる衝撃と、何に対するものなのか分からない違和感で頭の中がグルグルする。
「ダメなの!! 絶対に、ダメなの……っ!!」
だけどその全てが、エリカの声で霧散した。
僕の胸にすがりついたエリカは、歯を食いしばって泣いていた。
噛み締めた歯の間から微かな嗚咽が零れ、パタパタと頬を伝った涙が僕の浴衣の襟元へ吸い込まれていく。
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