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「……ずっと、一緒にいよう」
そんな僕の唇からこぼれたのが、その言葉だった。
「ずっと一緒に夏祭りに行こう、エリカ」
何を言ってるんだろうって、思ったと思う。
エリカはもう、死んでいて。
僕はかろうじて生きているらしくて。
エリカは僕を生かしたくて。
僕とエリカは、埋めることなんてできない、深い溝に隔てられていて。
それを知らされたと言うのに、僕が呟いた言葉はそれだった。
だけどそれが、掛け値のない僕の本心だった。
「……うん」
エリカの手が、顔から離れる。
小さな手が、僕の腕に乗せられた。
エリカの声は、穏やかだった。
「太一は、優しいね。
初めてあった時から、ちっとも変わらない」
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