宵闇金魚

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「何食べてんの、太一?  あ! ラムネいいなぁ! も~らい♪」 「あぁっ!!」  だというのにエリカは、そんな僕の些細な楽しみまで奪っていく。 「お嬢ちゃん、カレシさんにそれはちょっと酷じゃないかい?」  思わず僕に同情した屋台のおじさんがもう1本ラムネを差し出してくれる。  だがどこからともなく現れたエリカは、そのおまけの分までヒョイッとさらっていってしまった。 「いーの! 太一はあたしのことだけ見てなきゃいけないの!  屋台に浮気なんて、許さないんだからっ!!」  そんな勝手な言葉を残していかれてしまっては、怒る気力も湧いてこない。  僕が溜め息をこぼすと、その様子だけで僕の内心を悟ったのか、エリカは嬉しそうに人混みの中へ飛び込んでいった。
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