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「もうお腹ぺこぺこだよ、エリカ。
観念して、何か譲ってくれよ」
僕の言葉にエリカは曖昧に頷いた。
腕が緩慢に動いて、割り箸とトレーを差し出してくれる。
フワリと漂う青海苔とソースの香りで、中身が僕のお気に入りの屋台のお好み焼きだとすぐに分かった。
「ありがと」
やっぱり分かってくれている。
その安堵と愛しさがない交ぜになった笑みが浮かんだのが分かった。
だけど、対するエリカの表情はどこか硬い。
こんなにぎこちない動きも、エリカらしくない。
疑問を胸の内に転がしながらも、空腹がそれに勝った。
抗えない食欲に負けて、エリカから受け取った割り箸を割り、トレーを開いてお好み焼きを口に……
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