第2章 サングリア

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「…もう、仕方ないなぁ…」 先生がクルマを路肩に停め、パーキングのギアを入れた。 彼は自分のシートベルトの金具を外し、おもむろに俺の手からペリエを奪い取り、自分の口に含んだ。 俺の肩に手を回し、顔が近づく。 顎をつかまれ、目の前が暗くなった。 …ふわっとした感触… 「…っ」 炭酸水が口に広がって、はじけてゆく… 初めてだ…こんなの… まさかの男からの…口移し… マウストゥマウスの…立派なキスだ… 「ンッ…」 思いのほか…気持ちが…いい… シュワっとした水。 男のくせして…柔らかい…唇の対比が…少しヒゲが当たってるけど… ごくり…こくり… 目を開けた俺に、前島先生は 「ごめんなさい… 急に… でも、こうでもしないと、醒めないでしょ?」 そう言った眼は、どこか獲物を見つけた獣のようだった。
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