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しばらくすると、赤ワインを持った前島先生が戻ってきたので、立ち入った話はそこで自然にストップした。
先生は手慣れた様子で栓を開け、デキャンタした。
それを秀蔵先生がグラスに注いでくれる。
淀みのないその動きに、俺はうっとりとする。
赤ワインを満たしたグラスを光に透かせると、事務所内が美しく映る。
「……改めて息子をよろしくお願いします。どうか、守ってやってください」
世界の巨匠に心から深々とお辞儀されると、本当に恐縮してしまう。
「いえいえ、こちらこそ。今日は本当にありがとうございます! 息子さん、祐くん、守りますよ!」
大事にします、守りますって、何だよ。大げさだなぁ。結婚じゃないんだから。
何を言わせるんだ、オッサン。
「改めまして、乾杯!」
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