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「…もう、仕方ないなぁ…」
先生がクルマを路肩に停め、パーキングのギアを入れた。
彼は自分のシートベルトの金具を外し、おもむろに俺の手からペリエを奪い取り、自分の口に含んだ。
俺の肩に手を回し、顔が近づく。
顎をつかまれ、目の前が暗くなった。
…ふわっとした感触…
「…っ」
炭酸水が口に広がって、はじけてゆく…
初めてだ…こんなの…
まさかの男からの…口移し…
マウストゥマウスの…立派なキスだ…
「ンッ…」
思いのほか…気持ちが…いい…
シュワっとした水。
男のくせして…柔らかい…唇の対比が…少しヒゲが当たってるけど…
ごくり…こくり…
目を開けた俺に、前島先生は
「ごめんなさい… 急に… でも、こうでもしないと、醒めないでしょ?」
そう言った眼は、どこか獲物を見つけた獣のようだった。
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