第2章 サングリア

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ふたくち目の炭酸水を含んで、再びキスしてくる。 ほんの少しだけ、ぬるくなって喉に流れ込んでくる。 舌と舌とが…触れる。 あたたかい… 「…ん…」 こんなキス…何年ぶりだろうか。 夜の都会の片隅に停まるクルマ。 しかも外車… なんて、キスにぴったりのシチュエーションなんだ…。 「…んっ」 俺もつい、先生の背中に腕を回し、抱き締めてしまう。 「あ…」 抱き合うって、こんなにも、気持ち良かったっけ… なんだか、可愛い… …今度は俺からの、キス。 舌と舌の感触が、酔いとあいまって、頭の奥で快感と波打つ。 「ン…」 柔らかな、髪の毛…色っぽい、喘ぎ… あたたかな唾液が、絡み合う…  もうひとくち、先生はペリエを含んで飲ませてくれる。 今度は、両手で、頬を持って… 「ン…ふっ…」 心地よく流れ込んでくる液体…  顔を離して… 「ちょっと…マシになりましたか?」 「は、はい…」 程よく酔いが醒めてくる… 「よかったです」 先生はシートベルトを締めて、再びクルマを走らせた。 気持ち良さと、車窓からの流れる夜景。 俺は、もう陥落寸前…。 「あ、この辺で大丈夫です…」 「本当に大丈夫ですか?」 「もう、立てるかと思います…」 俺は、うすらぼんやりした頭で決めた。 とことん酔ったフリで通そう。シャレにならないからな… 「おやすみなさい…今日はありがとうございました…」 「おやすみなさい…」 そっとドアを開けて、家に入る。 クルマのエンジン音が、離れていく。 …静かだ。ヒサトは寝たっぽい。 あいつ、偉いな… 冷蔵庫から、冷水を取り出し、一気に三杯ほどあおって自分のベッドに倒れ込んだ。 「ふぅ…」 まだ、頭の奥がひりひりする。痛いってわけじゃない。 何だったんだ… しかし、二日酔いがひどそうだ。 もう、寝るしかない。 もう、こんな痴態、どーすりゃいーんだ。 とりあえず、脱げるものは脱ごう。 下着から、下半身が、はみ出す勢いだった。
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