第3章 ブルーシート

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来週に迫った体育祭の準備で、校内は教職員も、忙しそうに立ち回り、生徒たちは、体育委員だけが参加していた。  男手が足りないという知らせで急遽運動場に向かう。 たまたま近くにいた前島先生も、同じエリアを受け持っており、ブルーシートを運ぶことになった。  倉庫の重い引き戸を開けて、手探りで壁を触り、スイッチを押すも、ほぼ半分電球が切れていた。 「この辺だったと思うんですよね…」 やがて、目が慣れてきて記憶を頼りに置き場所へ向かう。 「あ、これかな…? これ、これ!」 青いブルーシートの上に、厚いマットが乱雑に敷き詰めてある。 毎年のことだが、整理整頓をしなければならない時期だ。 イベント直後は誰もチェックできていない。 今年度は校舎の新築も入って多忙になったため、適当な片づけぶりが見て取れた。 「すみません、ここ、引っ張り出してもらえますか?」 「これですね…んしょっ」 前島先生が押さえてくれる間に、俺が下の荷物を出す段取り…のはずなんだが…そうはうまくいかなかった。
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