第3章 ブルーシート

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「戻り…ましょうか…」 少しずつ…身体を…手を離す。 本当はずっと、ずっと、こうしていたい。 触れ合う部分や、細胞ひとつひとつが別れるのを惜しむかのように。 …ゆっくり…離してゆく。 まだ、汗ばんでる。 …困ったぞ。 俺の…破裂寸前… 生理現象は、性別には関係ないっていうのか。 お。荷物を持ち上げると、ちょうど隠れて見えない。こりゃ、いーや… 「先生、一応…保健室行ってください。あとは、僕が運びますし」 平然さを取り繕ってはいるものの、背中は汗だくだ。 「…そうですね…、あの、ありがとうございます…」 …そんな、物憂げな顔をしないでくれ… 先生は保健室、俺は運動場に。 別々の方向に体は離れても、俺たちは、少しずつ近づいていた。
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