後日談――――約束

2/4
1人が本棚に入れています
本棚に追加
/23ページ
 次の日、俺は朝早くのバスに乗って都会へ向かった。誰にも会いたくない、わけではなかったが、二人にも道があるのだ。特に干渉すべきではないと考え、そのままバスに乗った。 「あれ? 祐輔早いね」  聞き慣れた間延びした声。 「……杏か? なんでこのバスに?」  するとそこには美弥子もいた。 「ゆうくん、十年前もこっそり出てったから、今回は見送らなきゃと思って」 「いいのかよ、二人共仕事は」  そう聞くと二人共同じ答えを出していた。 「向こう行ったら住む家決めなきゃならないし、早めにこういうのは決めなきゃね」  ……勝手にしてくれ。 「もし決まらなかったら、祐輔の家に転がり込むから大丈夫だよね」 「……やめてくれよ。狭い家がより狭くなる」 「それに、お別れ、してないしね」  ……そうか。琥珀と顔を合わせたいわけだったのか。そうだな、俺も行っておくか。
/23ページ

最初のコメントを投稿しよう!