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次の日、俺は朝早くのバスに乗って都会へ向かった。誰にも会いたくない、わけではなかったが、二人にも道があるのだ。特に干渉すべきではないと考え、そのままバスに乗った。
「あれ? 祐輔早いね」
聞き慣れた間延びした声。
「……杏か? なんでこのバスに?」
するとそこには美弥子もいた。
「ゆうくん、十年前もこっそり出てったから、今回は見送らなきゃと思って」
「いいのかよ、二人共仕事は」
そう聞くと二人共同じ答えを出していた。
「向こう行ったら住む家決めなきゃならないし、早めにこういうのは決めなきゃね」
……勝手にしてくれ。
「もし決まらなかったら、祐輔の家に転がり込むから大丈夫だよね」
「……やめてくれよ。狭い家がより狭くなる」
「それに、お別れ、してないしね」
……そうか。琥珀と顔を合わせたいわけだったのか。そうだな、俺も行っておくか。
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