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バスに揺られて到着したのは俺の家がすぐそばにある最寄り駅。そこから歩いて三十分くらいの警察署に入れられたらしい。……あまり行きたくないが、仕方ない。
二人は都会の景色にきょろきょろしている。無理もないか。ここはまだ住宅街なのだが。
歩いて着いた警察署に話をつけて、留置所まで面会の許可をもらう。
中にはぐったりと項垂れている琥珀がいた。
「琥珀、お前に客だ」
俺はいつもの風を装って琥珀に声をかける。すると頭を上げて驚く琥珀の姿があった。
「今日はね、また会う約束をしにきたんだ」
美弥子が口火を切る。
「祐輔がいなくなった時にもこんなことしてないからね。絶対また会おうねって約束、しなきゃならないと思って」
杏が続きを口にする。あぁ、こいつらは友達なのだ、そう思った。その中に俺は……。
「ほら、ゆうくんもなにか言わなきゃダメだよ」
……入っていた。そうか、俺も何か言うべきなのか。
「……そうだな。また会おう。絶対いつか、どこかで。その時はどこだって連れてってやるよ」
その言葉に琥珀は涙を見せた。自分が間違っていたと、きっと自覚したのだろう。
「みんな……ごめんね……。ありがとう……」
そう言って声を上げて泣き出す。結局、七不思議は只の人間だったのだと、そう思った。
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